コース
わさび菜 / 酸凝固チーズ よもぎ / パンデピス しいたけ
三つの小皿。よもぎのパンデピスに酸凝固チーズを挟んだもの、揚げたしいたけ、わさび菜のクネル。
わさび菜もよもぎも、しっかりした香りと味がありながら苦みやくどさがない。しいたけは旨みが凝縮されていて、素材の力強さがそのまま出る。
芽キャベツ かつお菜 菜の花 芹
緑のピューレの上に、炙った菜の花のつぼみと芽キャベツ。芹とクレソンが立ててある。
ピューレにすると香りや風味が引き立つ。菜の花は軽く炙ってあって、ほどよい塩気があり味わい深い。
クレソン ブロッコリー チーズ
焦げ目のついたブロッコリーとクレソンに、白いソース。
どちらも軽く炙られていて、苦味がなく野菜本来の美味しさが際立つ。竜王チーズは主張しすぎず、全体をまろやかにまとめている。
白人参 菊芋
白人参の白いポタージュに、揚げた菊芋のチップを重ねてある。
白人参は香りが良い。菊芋は香ばしく、甘みが引き立つ。
こしひかり しいたけ プチヴェール
大原のコシヒカリとしいたけ。リゾット状にした米の上に、揚げたプチヴェールの葉を散らしてある。
乳製品不使用とは思えないほど、しいたけのピューレがクリーミーで濃厚。プチヴェールもそれに負けない味わいで返してくる。
虹鱒 紅菜苔 野蒜
虹鱒をパイ生地で巻いて焼いてある。断面に橙色の身と緑の葉が層になって見える。
虹鱒と紅菜苔や野蒜などの野菜の風味が、マスタードソースのおかげで調和する。野草の個性もきちんと感じられる。
猪 小松菜 カワヂシャ
薄く切った淡い桃色の猪肉を、青菜にかぶせるように盛ってある。
猪肉も美味しいが、小松菜やカワヂシャなどの野菜のほうが特に印象に残る。野菜が猪の味を打ち消すのではなく、しっかり芯のある存在感を放っている。ここでも主役は野菜だった。
鹿 ほうれん草 ふきのとう
中心が赤く残る鹿肉が二切れ。黒い蕗のとうのソースと、根付きのまま焼いたちぢみほうれん草。
鹿のこんしんの部位は柔らかく、臭みもない。香ばしさと蕗のとうの風味がよく合う。ちぢみほうれん草は甘みがあって味わい深く、根まで根菜のような甘さがある。
チーズ
3種のチーズと蜂蜜、パンデピスが同じ皿に。
竜王のチーズが非常に美味しい。ウォッシュタイプやクミン入りのラクレットに、蜂蜜がよく合う。
ふきのとう 古代米 かき菜
鮮やかな緑のソースの上に、古代米とベージュのアイス。
甘く炊いた古代米に、ほのかな甘みのふきのとうアイスがよく合う。かき菜の風味も心地よい。
プティフール
あかしおスコーン、カキドオシとミントのバタークッキー、ニンジンのパウンドケーキ。
どれも甘さ控えめで軽やか。
まとめ
この店では、皿が来る前に生の野菜が来る。赤い漆の盆に根付きのちぢみほうれん草とふきのとうのつぼみが並んで、そのあとに焼いたものが出てくる。畑から持ってきたそのままの姿を先に見せてから火を入れる、という順番になっている。
だから野菜が主役だと言い切れる。猪の皿でも鹿の皿でも、肉より小松菜やカワヂシャ、ちぢみほうれん草のほうが印象に残った。野菜が肉の味を打ち消すのではなく、芯のある存在感でとなりに立っている。
四月は冬野菜と春野菜が入れ替わる時期で、そこが面白かった。芽キャベツ、かつお菜、白人参、菊芋という冬のものと、菜の花、わさび菜、野蒜、ふきのとう、かき菜という春のものが同じコースに並ぶ。しかもどちらも苦みの出方が違う。冬のものは甘みが濃く、春のものは苦みが立つ。
火の入れ方も1貫している。ブロッコリーもクレソンも菜の花も軽く炙ってあって、苦味を飛ばして甘みだけ残す。薪の店なので、この炙りが全体の味を決めている。
春に大原へ行くなら、冬野菜がまだ残っているこの時期に。次は夏の野菜が出そろう頃に来てみたい。