8月27日の夜、虎ノ門のル・プリスティン東京へ。「Sergio Herman in Tokyo」と題したコースで、5皿に5本、それぞれ違う国のワインが付く。
コース
ムール貝 味噌とアイオリ/ピッツァ
氷の上に殻付きのムール貝。味噌とアイオリのソースに、きゅうりの薄切りとハーブ。別皿にフォカッチャのピッツァで、トマトと蛸、ハーブ。
ピッツァのトマトとチーズは優しい味。味噌のコクとアイオリのにんにくが、ムール貝の塩気に乗る。
北海道産帆立貝のクルード
リングに帆立のタルタル。花びらとハーブを散らし、緑のオイルと白いソース。鮨酢のマリネにバジルのバターオイル。
鮨酢のマリネで帆立の甘さに酸が入り、バジルのバターオイルが香りを足す。
手長海老 シャンパンソース 黒ニンニク 海老出汁のムース
手長海老の身にキャビア。豆、黒ニンニクのソースとシャンパンのソース、海老出汁のムース。
黒ニンニクの甘い濃さとシャンパンソースの軽さを、海老出汁のムースがつなぐ。
鱸 フレゴーラ タラゴン
皮目を焼いた鱸に、ハーブとチーズの衣。横にフレゴーラと豆、泡。タラゴン。
ハーブの衣が鱸の皮目の香ばしさに乗り、フレゴーラが出汁を吸う。
国産あか牛のグリル バジル
赤みを残したあか牛のグリル。バジルのペスト、豆、フォン・ド・ヴォーのソース。
赤身の旨みに、バジルのペストの青さとソースの濃さ。
ピーチメルバ “ル・プリスティン”
ル・プリスティンのピーチメルバ。バニラのアイスにラズベリーのソース、アーモンドのチップ、ダックワーズとスポンジ、花。
桃とラズベリーの酸を、バニラのアイスとダックワーズの甘さが受ける。
チョコレートのケーキ メロン 人参のマドレーヌ
チョコレートのケーキ、氷の上のメロン、人参のマドレーヌ。
まとめ
この店の面白さは、ソースとスパイスにあると思う。皿ごとに二つ三つのソースを重ねて、そこにはっきりした香りを一つ置いてくる。ムール貝には味噌とアイオリ、帆立には鮨酢のマリネとバジルのバターオイル、手長海老には黒ニンニクとシャンパンのソースに海老出汁のムース。鱸にタラゴン、あか牛にバジルのペスト。主役の素材は日本のものでも、皿の輪郭を決めているのはソースと香りのほうだった。
ワインもその延長にある。5皿にニュージーランド、ジョージア、ブルゴーニュ、トスカーナ、ブルゲンラントと、1本ずつ違う国から持ってきて、手長海老にジョージアのアンバーワインという組み合わせはここでしか出てこない。
北海道の帆立を鮨酢でマリネし、ムール貝に味噌を合わせるところに、イタリアとゼーラントの間で日本の素材を扱う、この店の形が出ている。
八月の終わりで、帆立と手長海老、鱸と、皿の主役は海のものだった。次は冬、あか牛がジビエに変わる頃に来てみたい。