コース
魚のジャスミン茶燻製、才巻海老の黄金汁漬け、フェンネルの黒酢マリネ、ピータンのゼリーよせ、広東式釜焼き叉焼、豚肉のクリスピー焼き
魚のジャスミン茶燻製、フェンネルの黒酢マリネ、広東式の釜焼き叉焼、才巻海老の黄金汁漬け、皮蛋のゼリーよせ、皮だけを金色に焼き上げた豚バラのクリスピー焼き、大葉。
叉焼は蜜を塗って焼いてあるぶん縁が甘く、その甘さを黒酢のフェンネルと生姜の効いた皮蛋が交互に引き締める。豚バラは皮だけが乾いて割れ、下の脂と赤身は柔らかいまま残る。
トリュフのせ焼売、蟹肉入りパイ、エビ春巻
黒トリュフを削った焼売、丸く揚げた蟹肉入りのパイ、半分に切ったエビ春巻、笹の葉。
焼売は豚の餡が粗く挽いてあって、削ったトリュフの香りは噛んだあとから立つ。パイは指で持つだけで層が崩れて、中の蟹の甘さが出てくる。
セッコク 玉竹 ハスの実のスープ
石斛と玉竹と蓮の実を湯煎でじっくり炊いた炖汤、澄んだ琥珀色のスープ。
塩気を立てずに炊いてあって、薬効のある根の甘さと苦さだけが薄く残る。
伊勢海老 イタリア麺チーズ風味煮込み
殻ごとの伊勢海老、天使面の細い麺、外した身をチーズのソースで煮込んだもの。
チーズのソースは見た目ほど重くならず、伊勢海老の甘みを覆わずに細い麺へ移っていく。
国産牛サーロインのブラックペッパーソース
厚いまま一枚の国産牛サーロイン、黒胡椒のソース、アスパラガス、しめじ、角切りのパプリカ。
黒胡椒のソースが濃く、厚みのある一枚に正面から絡んでくる。
牛肉とトリュフの炒飯
醤油で色のついた炒飯、牛肉のそぼろ、レタスの千切り、青葱、人参、黒トリュフ。
レタスは炒め合わせたあとも水分を残していて、醤油で締まった米のあいだで一つだけ軽い。
マンゴーミルクと小豆あん入りパイ
マンゴーのピュレに牛乳を合わせた楊枝甘露、サゴ、角切りのマンゴー、文旦の果肉、白胡麻をのせた小豆あんのパイを一つ。
冷たいマンゴーの甘さを、文旦の粒が一口ごとに酸で割る。パイは小豆のあとから陳皮の香りが上がってくる。
まとめ
グランド ハイアット 東京のチャイナルームで2月の夜。パーク ハイアット 広州の「悦景軒」で料理長を務めるジェイコブ ホアンが監修したディナーコース。前菜が六品、点心が三品、そこから石斛と玉竹と蓮の実のスープ、伊勢海老、国産牛サーロイン、炒飯、デザートが二品。
前菜の皿がこの日の全部を先に見せてしまう。蜜を塗って釜で焼いた叉焼と、皮だけを金色に焼き上げた豚バラのクリスピー焼きが同じ皿に並び、そのあいだに黒酢のフェンネルと生姜の皮蛋が置かれる。甘い豚に酸を当てる組み立てが、そのまま広東料理の型として出てくる。
そこから献立は型を外していく。石斛と玉竹を炖汤にした薬膳のスープの次に、伊勢海老をイタリアの細麺とチーズで煮込んだ一皿が来る。広東の厨房がカッペリーニとチーズを使うところが、この夜のいちばん変わったところだった。
この献立はもう出ない。同じ皿をまた食べるなら広州の68階まで行くことになるし、六本木で待つなら、この店が次にどこの厨房を呼ぶかを待つことになる。