12月、能登町の百楽荘で夕食を。珠洲蛸島の極みカニコースで、九十九湾に乾杯という柚子りんご酒から始まって、最後のデザートまで蟹が続く。

令和6年12月12日の御品書き。九十九湾に乾杯から季節のデザートまで縦書きで並ぶ
この日の御品書き。九十九湾に乾杯から季節のデザートまで
夕食の前、氷と杉の葉の上に並べられた蟹。青いタグの付いたものが三杯
夕食の前、氷の上に並んでいた蟹

コース

01

蟹羽二重蒸し 甲箱蟹

縞の碗に入った蟹羽二重蒸しと、甲羅に身と子を詰めて琥珀色のジュレをかけた甲箱蟹

蟹羽二重蒸し、高台の器に甲箱蟹。

羽二重蒸しは優しい味で、ほぐしたズワイが上にのっていても蟹は主張してこない。あくまで茶碗蒸しで、銀杏と出汁が際立つ。甲箱は素材が良く、足も外子も内子も上手い。ジュレをかけた味噌は上品。

先付けと酢の物が同じ膳で一緒に来る。

02

毛蟹蒸し寿司

金色の皿に、ほぐした毛蟹の身といくら、刻んだ柚子の皮をのせた蒸し寿司

ほぐした毛蟹の身、いくら、刻んだ柚子の皮、温かい蒸し寿司。

いくらが出汁醤油的な味で、温かいのが良い。毛蟹は肉厚でタンパクだけれど、後味までは続かない。

03

能登の新鮮魚 加能蟹と毛蟹の造り

食材甘鯛甘海老鯛ぶりズワイガニ毛蟹

産地ズワイガニ能登 蛸島

氷を張った丸鉢に甘海老と白身とガラスの小鉢、右の角鉢に氷を敷いた加能蟹と毛蟹の生の身

頭付きの甘海老、白身にいくらと柚子を重ねたもの、笹、加能蟹と毛蟹を生で、氷。

甘鯛が相当上手い。毛蟹はらしさ全開で、加能蟹のほうは綺麗すぎて、蟹じゃない。

04

加能蟹・毛蟹 海洋深層水蒸し

食材ズワイガニ毛蟹

産地ズワイガニ能登 蛸島

蒸籠の皿に、割った毛蟹と、加能蟹の脚と爪、甲羅の身が並ぶ

蒸籠に割った毛蟹、加能蟹の脚と爪と甲羅の身、海洋深層水で蒸してある。

蒸した身は特に美味しいわけでもない。ここで飽きて、蟹はもういい、となる。

05

加能蟹炭火焼き

食材ズワイガニ

産地ズワイガニ能登 蛸島

白い皿に生の加能蟹の脚と、甲羅いっぱいの蟹味噌、塩とすだち。右の板に生の身とほぐした蟹の身

生の脚、甲羅いっぱいの蟹味噌、七輪の炭火で自分で焼く、塩とすだち。

香ばしさはある。それでも蟹そのものはそこまで変化しない。

七輪の網の上で焼かれる加能蟹の脚と、甲羅に入った蟹味噌
七輪の網に脚と甲羅の味噌をのせる
焼き上がった加能蟹の脚を皿に取り、蟹用のフォークを添える
焼き上がった脚を取り分けて
06

加能蟹しゃぶしゃぶ

食材ズワイガニ

産地ズワイガニ能登 蛸島

白い皿に、割った加能蟹の胴。生の身が剥き出しになっている

生の身を剥き出しにした割った胴、木の葉形の器に蟹味噌。

しゃぶした身に軽く味噌がついて、美味しい。

飴釉の木の葉形の器に蟹味噌。縁に蟹の脚の身がのる
つけて食べる蟹味噌
07

蟹味噌リゾット

食材ズワイガニ

産地ズワイガニ能登 蛸島

甲羅を器にした蟹味噌のリゾット。米が味噌に浸かっている

甲羅を器にして蟹味噌で炊いた米。

味噌と御飯の釣り合いがちょうど良い。

08

季節のデザート

黒い鉢に白いソルベ、切った果物、胡麻の飴煎餅、赤紫の花

ソルベ、切った果物、胡麻の飴煎餅、赤紫の花。

胡麻の飴煎餅の香ばしさが、ソルベと果物の甘さに合わさる。

まとめ

能登町の百楽荘で12月の夜、珠洲蛸島の極みカニコース。蟹羽二重蒸しと甲箱蟹に始まり、毛蟹の蒸し寿司、能登の魚と加能蟹・毛蟹の造り、海洋深層水蒸し、炭火焼き、しゃぶしゃぶ、蟹味噌リゾットまで、デザート以外は全部蟹だった。

印象に残ったのは甲箱蟹と、造りの甘鯛。甲箱はどこを食べても良くて、これが一番だった。甘鯛は蟹の献立に一皿だけ混じる別の魚で、相当上手い。

それでも、これまで食べてきた中ではいちばん下のほうに来る夕食だった。理由ははっきりしている。生、蒸し、炭火、しゃぶしゃぶと調理は変わるのに、味の違いを楽しむのが難しい。焼いても香ばしさが足されるだけで、蟹そのものは変わらない。蒸し物のあたりで飽きる。最後の蟹味噌リゾットで、ようやく味が動く。

一杯の蟹をどれだけの形で出せるか、という献立で、蟹だけを目当てに来た人には合う。自分には多すぎた。能登の冬に不足があるわけではない。蛸島の蟹も、造りに並んだ魚も良かった。足りないのはこの献立の組み立てのほうで、蟹は造りと甲箱で止めて、残りを能登の魚に振ってくれたらいい。