8月15日の夜、金沢・片町の鮨 いくたへ。カウンター8席の店で、日本酒をグラスで何杯か飲みながら、つまみ5品と握り10貫。
コース
鯛
造り。花穂と紫蘇の花をのせ、たれの上に置いてある。わさび。
身は締まっていて、たれをくぐらせると甘みが立つ。
平貝磯部焼き
焼いた平貝を海苔で巻いて、手で持って食べる。
貝柱は焼くと甘みが出て、海苔の香りがそれを包む。
タコ 辛子
水蛸。わさびと辛子を添えて。
柔らかく煮てあるので歯がすっと入り、辛子が蛸の甘みを引き出す。
カラスミ餅
焼いた餅で唐墨を挟む。
餅の香ばしさに唐墨の塩気が乗る。つまみの締めにちょうどいい一口。
蒸し鮑 肝リゾット
蒸した鮑を、肝で和えた米の上に。枝豆が二粒とわさび。
肝のほろ苦さが米に回って、鮑の歯ごたえと合う。ここから握りに移る。
アラ
皮目を炙ってある。
皮は炙りで、香ばしさと旨みがはっきり出る。握りの1貫目にこれが来ると、あとが楽しみになる。
大トロ
大将が釣ってきたばかりの鮪。
新鮮そのもの。釣りたてのぶん脂が重くなく、口の中でほどける。この店で食べる理由が、この1貫に全部ある。
コハダ 新子
新子の二枚付け。八月の握り。
〆は浅く、酢の香りより身の柔らかさが先に来る。
アジ
皮目に包丁を入れてある。
脂が乗っていて、皮目の包丁で舌触りがなめらか。
マグロ 漬け
濃い赤で、艶がある。
漬けの醤油が身に入って、赤身の旨みが濃くなる。
カワハギ
上に肝、酢飯に小口の葱。
淡白な身に肝のコクが乗る。
カンパチ
皮目の銀を残した握り。
身に弾力があって、皮目の近くに脂がある。
ハマグリ
煮ツメを塗って、緑縁の角皿で。
煮ツメの甘さで蛤の旨みが引き立つ。
マグロ中落ち おしんこ 手巻き
鮪の中落ちと刻んだ沢庵を、海苔で手巻きに。
中落ちのねっとりした身に、沢庵の歯ごたえが入る。
鰻
焼いた鰻に柚子の皮を振って。
焼いた鰻に柚子の香りが立つ。締めにふさわしい温度と香り。
まとめ
この店の面白さは、大将が自分で釣ってくる魚が握りに混じることだと思う。この日の大トロがそれで、釣ったばかりの鮪をカウンターで握ってもらえるのは、金沢の片町でこの店だけの経験になる。
八月らしさは新子にあった。二枚付けで、〆は浅い。夏の終わりの短い時期にしか出ない握りが、つまみから握りへの流れの中で自然に出てくる。
つまみ5品もよかった。鯛の造りから始まって、平貝の磯部焼き、水蛸、カラスミ餅、そして鮑の肝リゾットで握りに入る。順番に軽さから濃さへ動いていく。
この日いちばんよかったのは大トロだった。理由は新鮮さで、それはこの店でしか手に入らないものだ。
次は秋、鮪の脂がさらに乗る時期に来てみたい。