コース
Prologu
五つの小皿がカウンターに一斉に並ぶ。
赤ビーツとレバーのメレンゲは、レバーの風味がほんのり効いているのにさっぱりしている。クロケットはじゃがいもが主役で、香草は香り程度にとどめてあって上品。黒部のヤギチーズは焼いて香ばしく、げんげは苦味がなく魚の旨味だけが出る。白海老の燻製は海苔と合わさって、海老の甘みと香りがしっかり立つ。
鱧と雲丹
曇りガラスの鉢。緑のオイルと桃色の穂紫蘇の下に、鱧と雲丹。
鱧の出汁と雲丹の旨みが調和して、しっかりしたコクになる。じゅんさいやスプラウト、大葉が爽やかさを加え、じゃがいもピューレが全体をなめらかにまとめる。紫蘇や大葉とのマリアージュが特に良く、香りと味わいのバランスが絶妙だった。
太刀魚とパイ生地
パイ生地の上に緑の層と太刀魚を重ねて、ズッキーニのリボンとディルをのせてある。
炭火で焼いた太刀魚が驚くほどさっぱりしていて、香ばしいパイ生地とよく合う。ズッキーニや加賀太きゅうり、天然みつばがバランスよく組み合わされ、魚の存在感を引き立てながらしっかりした味わいになる。
月ノ輪熊の熟成赤身
月ノ輪熊の熟成赤身。緑の山菜のソースと紫の花を散らしてある。
力強い味わいで、山菜やつるむらさきの草の香りと見事に調和する。あざみの風味がアクセントになって、熊肉と山菜の組み合わせが絶妙にまとまる。
氷見産アオリイカとマコモダケ
氷見産のアオリイカとマコモダケ。白い泡の中に、金胡麻と紫の花。
どちらも炙ってあって香ばしい。貝の出汁とキンゴマが深みを加え、クリーミーなバターのようなコクと薪の香りが合わさる。魚介ときのこの旨みが同時に際立つ。
小矢部川の天然すっぽんの炭火つくね
小矢部川の天然すっぽんを炭火のつくねにして、青紫蘇の葉の上に串で。
香りと旨味があって、野草とのマリアージュが絶妙。下に敷いたとうもろこしのトルティーヤ生地は甘みが際立つ。
大門素麺と蕗のとう、ヤギのチーズ
レヴォのスペシャリテ。黒い器に黄緑のスープが張ってある。
蕗のとうとヤギのチーズが深い味わいを生む。スープはそのままでも楽しめるほど旨みがあって、素材の個性が際立っている。
L'évo鶏
脚を1本、足先まで付けたまま黒い石の皿に置いてくる。ソースは橙色のひと粒だけ。
土遊野ファームの鶏を、酒粕入りの飼料で育てたもの。腹に餅米を詰めてある。あふれる旨味と香ばしい味わいが印象的で、マスタードソースが全体をきれいに引き締める。これもレヴォのスペシャリテ。
甘鯛と富山海老のお米えびせん
衣をまとった塊のまわりに、緑の葉と淡い青緑の粒を円く散らしてある。
富山海老を使ったお米えびせんは、香りも味も力強く印象的。その中で甘鯛がしっかり存在感を保っていて、素材同士のバランスが絶妙だった。
仔猪
近くの山で獲れた仔猪を熟成させたもの。中心が桃色に残る火入れで、濃い茶色のジュに置いてある。
旨味が凝縮された深い味わい。茄子やごぼうのピューレ、つるむらさきがやさしく寄り添う。
高岡産ゆうかメロン
高岡産のゆうかメロン。曇りガラスの筒に、白い泡がドーム状に盛り上がっている。
みずみずしく上品な甘さで、なめらかなバニラアイスがその甘みを引き立てる。
黒文字
粉をまとった小さな菓子に、白い星形の花。
黒文字の香りがほんのりと広がって、キャラメルの優しい甘さがアクセントになる。
プティフール
黒い木箱に茶葉を敷いて、金箔をのせた菓子、粉をまぶした球、フィナンシェ、干したいちじく。
棒茶の香ばしさ、フィナンシェ、冷たいシューアイス、富山産の黒いちじくのタルト、甘酸っぱいフランボワーズ。
まとめ
十月のレヴォは、山と海が1皿ずつ交互に来る。月ノ輪熊、仔猪、山菜、蕗のとう、あざみ。そこに鱧、太刀魚、氷見のアオリイカ、甘鯛、白海老が挟まる。山の店なのに海のものが同じ数だけ出てきて、どちらも富山のものだった。
酒も同じ考え方だった。カナタワイナリーのロゼとピノノワール、ドメーヌ・ボーの明野と須坂、氷見のセイズファーム。日本酒は満寿泉のプライベートリザーブと土遊野、三笑楽、勝駒。県内と近県で、1皿ごとに替えていく。
いちばん分かりやすかったのはL’évo鶏だった。土遊野ファームの鶏に、同じ土遊野の米で醸した満寿泉を合わせてくる。鶏の飼料には酒粕が入っている。鶏と酒と飼料が一つの農場でつながっていて、それを説明せずに皿と杯で並べてくる。脚を足先まで付けたまま出すのも、どこから来た鶏かを見せるためだと思う。
大門素麺と蕗のとうとヤギのチーズも、スープだけで成立するほど旨みがあった。黒部のヤギ、五箇山に近い大門の素麺、山の蕗のとう。プロローグでも同じヤギチーズが焼いて出てくるので、一晩に二度会うことになる。
秋に利賀へ行くなら、熊と仔猪が並んで、メロンにもまだ間に合うこの時期に。次は雪の季節に来てみたい。