9月2日の昼、札幌・円山の和田へ。カウンター7席の店で、店主は奥尻の生まれ。この日の献立には、奥尻の茗荷と奥尻の雲丹が両方出てきた。
コース
つるむらさき 空芯菜 トマト
灰釉の小鉢に、つるむらさきと空芯菜、トマトの冷たい和え物。胡麻。
冷たく、控えめな甘さ。山菜とモロヘイヤのような食感と味で、最初の一口が涼しい。
寿都のメジマグロ 奥尻の茗荷
赤絵の皿に、寿都のメジマグロ。刻んだ奥尻の茗荷を山にして、醤油。
茗荷はピリッとした辛さ。メジマグロは大人しい味だけれど、マグロらしさがある。地味に茗荷に負けない。
ホヤ 辛味大根
ガラスの器にホヤ。辛味大根のおろしと、赤い蕪の薄切り。
辛味大根はかなり辛い。それがホヤの癖を消してくれているのかもしれない。
帆立のしんじょう 札幌の九条ネギ
黒い椀。澄んだ出汁に帆立のしんじょうと、札幌の九条ネギ。
出汁にネギの甘さが出ている。帆立のしんじょうは色々な甘みと柔らかさがあって、かなり美味しい。それを出汁がきりっと締める。
あいなめの天ぷら 玉ねぎ ピーマン きくらげ
白い片口の器。餡の中にあいなめの天ぷら、玉ねぎ、ピーマン、きくらげ。
あいなめの旨みが詰まっている。ピーマンときくらげは苦味がなく、餡で甘さを出す。玉ねぎの甘さが際立つ。
鮑
朱の椀に鮑と肝。水と醤油と酒で茹でただけ。
鮑が柔らかくなり、塩分が出て出汁も良い。特段すごい旨味があるわけではないけれど、なぜか相当シンプルに美味しい。
厚岸の牡蠣 おかひじき メロン オクラ
赤絵の角皿。火を入れた厚岸の牡蠣に、おかひじき、メロン、オクラ。
牡蠣は生ではないのでミネラル感はない。代わりに旨味が凝縮されていて、クリーミーではなく、牡蠣本来の味だけがある。後味も残って美味しい。
幌加内の牛肉 茄子 レタス にんにくチップ
土鍋。幌加内の牛の薄切り、茄子、レタス、白菜、にんにくチップ。醤油系の出汁で。
握り 帆立
ここから握り。木の板の上に、醤油を塗った帆立。
握り ヒラメ
ヒラメ。皮目に包丁を入れて。
握り ホッキ貝
ホッキ貝。
握り 甘海老
甘海老。
握り まぐろ
まぐろの赤身。
握り 奥尻の雲丹の塩漬け
奥尻の雲丹の塩漬け。茗荷に続いて、二つ目の奥尻。
卵
玉子焼き。
フルーツほおずき チョコレート 人参のシフォン 抹茶のプリン バニラ
木の盆に、バニラのアイスとミント、抹茶のプリン、チョコレート、フルーツほおずき、人参のシフォン。
まとめ
この店の軸は奥尻だと思う。店主が奥尻の生まれで、メジマグロに乗せた茗荷も、握りの締めの雲丹の塩漬けも、そこから来ている。北海道の中でも、この島のものがカウンターに二度出てくる店は他にない。
産地の幅も北海道を一周する。寿都のメジマグロ、厚岸の牡蠣、幌加内の牛、札幌の九条ネギ。皿ごとに町の名前が付いていて、どれも味の記憶と一緒に残る。
この日いちばんよかったのは帆立のしんじょうの椀だった。しんじょうの甘みと柔らかさを、ネギの甘さが出た出汁がきりっと締める。鮑の椀も、水と醤油と酒で茹でただけなのに、なぜか相当シンプルに美味しかった。
9月の初めで、つるむらさきと空芯菜の冷たい和え物から始まり、牡蠣に火が入り、鍋が出る。夏から秋に渡る途中の献立だった。次は冬、奥尻の雲丹の時期が終わって、何が島から来るのか見てみたい。