コース
先付 なまこ このこ ふき
細く切った蕗、なまこの薄切り、このこ、紫の小花をひとつ。
なまこ、このこ、蕗が一口で来て、うまい。
ホタルイカの鮨
小さく握った酢飯に茹でたホタルイカ、木の芽。
酢飯の酸が、肝の濃さを受け止める。
皿の前に笊が出てくる。生きたホタルイカが盛られていて、青く光っている。光るのは水揚げから3日以内だけだという。
お造り 氷見のメジマグロ 富山海老
氷見のメジマグロ、富山海老、わさびと芽紫蘇。
メジマグロは脂がうまく、海老はこりこりして甘い。
造りの前に、生きた富山海老を氷の鉢で見せてもらう。今日が最後だという。
椀 あいなめの葛叩き わらび 木の芽
あいなめの葛叩き、わらびを一本、木の芽。
木の芽の山椒が香って、あいなめそのものがうまい。
ホタルイカの刺身とルイベ
木箱に敷いた氷、笹、ホタルイカの身の造り、ゲソ、凍らせたままのルイベ、桜色の小花を一枝。
造りはねっとり、凍らせたルイベは締まっている。刺身もうまいが、ルイベも良い。
ホタルイカの炭火焼き
目の前の炭火で箸で返しながら焼いたホタルイカを3杯、味付けはなし。
肝がうまくて、香ばしい。もう一段焼いたほうは足に焦げ目が入って、さらに香ばしい。
ホタルイカの釜揚げ うるいの酢味噌
器に釜揚げのホタルイカ、出汁も少し張ってある、皿にうるいと酢味噌。
焼きのあとにこれが来ると、同じ肝がさっぱりしている。
焼き物 サクラマス 鶏の松風 蕗の葉
焼いたサクラマスの頭のところ、鶏のひき肉を焼き固めて芥子の実をふった一片、レーズン、蕗の葉を炊いたもの、すだちを半分。
皮の脂と、蕗の葉の苦みが行き来する。
いわしのつみれ
いわしのつみれ、薄く切った長葱、挽いた黒胡椒。
つみれだけでなく、出汁もうまい。
富山のながらもと素麺 ホタルイカの天ぷら
碗に素麺、富山のながらもという海藻、皿にホタルイカの天ぷらが2つ、巻いた青葉、梅肉を一点ずつ。
ながらものぬめりが出汁ごと素麺に絡み、天ぷらは梅肉の酸で肝の甘さが締まる。
ご飯 小矢部の米
おひつに小矢部の米、香の物、醤油の出汁に漬けたホタルイカに大根おろし、佃煮、ほぐし身、練り味噌。
これが良い米。四つのお供をひとつずつ、飯で受け止めていく。
和歌山の三宝柑
皮ごと器にした和歌山の三宝柑、切った蓋。
開けた瞬間に香りが来る。
苺大福 黄身あん
苺大福、黄身あん。
こっくりしたところが、苺の酸を受け止める。
まとめ
富山市の海老亭別館で3月の夜。ホタルイカを6通りで食べる。鮨、刺身、ルイベ、炭火焼き、釜揚げ、天ぷら。最初に笊で見せてもらったものは、まだ青く光っていた。
炭火焼きは味付けをせず、目の前で焼くだけで、肝の旨みと香ばしさがそのまま来る。もう一段焼いたものが続いて、焦げ目の分だけ香りが増す。造りのねっとりと、凍らせたルイベの締まりは別のもので、どちらも良かった。釜揚げは焼きのあとに来るぶん、同じ肝が軽く感じられる。生で、茹でて、凍らせて、焼いて、揚げてと一巡すると、肝の出方が一段ずつ変わっていくのがわかる。
ホタルイカだけではない。氷見のメジマグロは脂がうまく、富山海老はこりこりして甘い。その富山海老は今日が最後だという。椀はあいなめの葛叩きにわらびと木の芽で、山椒が香る。焼き物はサクラマスの頭のところ。ながらもという海藻が素麺に載り、米は小矢部。湾と春の山菜の間を、ほとんど動かずに組んである。
ペアリングは皿ごとに9杯。シャンパーニュ、IWA 5、ギリシャのオレンジ、砺波の苗加屋、エトナのロゼ、魚津のメルロー、イタリアのピノ・グリージョ、リベイラ・サクラのロゼ、リスボアのオレンジ。焼いたホタルイカに魚津の赤を当ててきたのが面白い。
行くならホタルイカの上がるこの時期。光るところまで見たいなら、さらにその中の数日に当たらないといけない。次は、ホタルイカが終わったあとの富山湾で、同じ人が何を並べるかを見に来たい。