コース
積丹産雲丹と冷製茶碗蒸し
白い器いっぱいに積丹の雲丹を敷き、中央にわさびをひと山。下に冷たい茶碗蒸しが隠れている。
雲丹の新鮮さがまず来る。冷製茶碗蒸しの滑らかな食感と、卵と出汁の旨味がその後ろで受ける。見た目からして1皿目に置く意味がある。
魚津産メジマグロのタタキ
魚津産、22kg のメジマグロのタタキ。切り口は赤く、かいわれと茗荷がのって、まわりに粗塩が振ってある。
脂っこさはそこまでない。それなのに旨みはしっかり出る。さっぱりしているのに濃厚、という同時に成立しないはずのものが同時に来る。
魚津産水蛸と出汁ジュレ
魚津産の水蛸に、透明な出汁ジュレ。上に穂紫蘇。
タコの味わいはじわじわと後から来るタイプで、そこを出汁がしっかり後押しする。紫蘇と塩が爽やかなアクセントになって、全体はさっぱり収まる。
地元の天然鰻
地元の天然鰻。塩とわさびが別添えで付く。
皮はパリパリ、身はふっくら。天然鰻ならではの綺麗な旨みで、噛むごとに風味が広がる。塩を付けると旨味が一層際立つ。
この日いちばん印象に残ったものの一つ。
魚津産の鮑と肝ソース
魚津産の鮑を薄く切って、淡い緑がかった肝ソースの上に。
鮑はコリコリしているのに柔らかく、口の中で味が広がる。肝ソースは少しさっぱりしているぶん、鮑の旨みを潰さずに後押しする。クリーミーな風味が残る。
残った肝ソースはシャリと一緒に出てくる。これがまたよく合っていて、1皿の中で二度楽しめる。
太刀魚とメロンの浅漬
太刀魚とメロンの浅漬。皮を炙った太刀魚をひと巻きにして、メロンの浅漬が三切れ。
太刀魚は程よい塩味と豊かな旨みで、後味が口の中でしっかり広がる。皮には香ばしい焦げ目がついているのに、身はしっとりしている。そのバランスが魅力。
真鯛
ここから握り。真鯛は皮目に細かく包丁が入っている。
紫蘇と梅が絶妙なアクセントになる。さっぱりした入り方なのに、後から少しずつ味が広がって奥深くなる。
剣先イカ
剣先イカ。白い身に胡麻が散らしてある。
胡麻の香ばしさと酢橘の爽やかな酸味が、ねっとりしたイカの自然な甘みを引き立てる。
ニシン
北海道産のニシン。
ネタが新鮮で、コリコリとした食感がある。脂はしっかり乗っていて、豊かな旨みを感じる。
白海老
地元の白海老。小さな身を山のように積み上げてある。
ねっとりとした食感。酢橘が加わることで味が引き締まり、甘さが一層際立つ。
この日いちばん印象に残ったものの一つ。
アラ
魚津産のアラ。
脂っこさを感じさせる風味がありながら、全体としてはさっぱりまとまっている。
バイ貝
地元のバイ貝。切り身が厚く重ねてある。
コリコリとした食感が楽しめて、旨みが非常に強い。一口ごとに豊かな風味が広がる。食感と味の両方で満足させてくる。
この日いちばん印象に残ったものの一つ。
カツオ
魚津産のカツオ。上に緑の薬味。
ネギの香りが良いアクセントになる。しっかりとした風味でカツオの旨味を楽しめる。
アジ
地元のアジ。
バランスの取れた美しい味わい。旨みもしっかり感じられて、洗練されている。
トキシラズ
北海道産のトキシラズを漬けにしたもの。
脂と旨みがぎゅっと詰まっている。風味豊かで濃厚だが、後味はしつこくなく、爽やかさが残る。
マグロ
函館産のマグロ。下に紫蘇が敷いてある。
紫蘇と合わせることで本来の味わいが一層引き立つ。マグロの豊かな風味がしっかり出る。
新子
地元の新子。小さな身を四枚重ねて握ってある。
酸味が少し強く、味も尖っている。その尖りがネタによく合っていて、他では味わえない独特の風味になる。
この日いちばん印象に残ったものの一つ。
トロ
函館産のトロ。
脂の乗りが良いが、決してしつこくない。すべての良さがバランスよく引き出されていて、非常に優れた味わい。
カマトロ
魚津産メジマグロのカマトロ。脂の白い筋がはっきり見える。
脂と旨みが際立っていて、豊かな風味が口いっぱいに広がる。一口ごとに贅沢な味わいになる。同じ魚がタタキで最初に出てきて、ここでカマトロとして戻ってくる。
この日いちばん印象に残ったものの一つ。
ノドグロ
地元のノドグロ。炙ってある。
口に入れると炙りの香ばしい香りが広がる。そのあとに脂の乗りと旨みが来る。
バフンウニ
利尻産のバフンウニを巻物にして、手渡される。
利尻らしい美しく洗練された味わい。海苔との相性が非常に良く、抜群に美味しい。
穴子
穴子。甘めのタレが塗ってある。
タレが穴子とよく合っていて、穴子本来の旨みをしっかり楽しめる。
塩プリン
塩プリン。金色の器に、割れたキャラメルが散らしてある。
キャラメルの甘さが感じられる一方で、塩が少し効いて甘さを控えめにしている。
まとめ
つまみが6品あって、そこから握りが16貫。八月の富山湾を、生のまま、炙って、漬けて、巻いて、と一通り通してくる構成だった。
この日いちばんよかったのは、地元の天然鰻、メジマグロ、白海老、バイ貝、新子、カマトロ。地元のものが並んでいるのが分かる。天然鰻は皮がパリパリで身がふっくら、塩で食べると旨味が立つ。白海老は酢橘で甘さが際立ち、バイ貝は食感と旨みの両方で来る。新子は酸味が尖っているのに、それがネタに合う。
面白いのはメジマグロの使い方だった。最初につまみのタタキで出てきて、握りの終盤にカマトロとして戻ってくる。同じ魚津の22kgの1本を、脂の少ないところと多いところで二度使う。
ネタの産地も、地元・魚津・函館・利尻・積丹と、はっきり分かれている。富山湾のものは地元、雲丹は積丹と利尻、マグロは函館。近いから使うのではなく、それぞれ一番いいところから取ってきている。酢飯は魚津産コシヒカリの古米に赤酢で、これが全部を受ける。
夏に富山へ行くなら、天然鰻と白海老と新子が重なるこの時期に。次は寒鰤とカニの季節に来てみたい。