コース

01

信玄鶏のプレッセとワカサギ

苔を敷いた木箱に、炭のような黒い台にのせたブリオッシュと信玄鶏のプレッセ、匙にのせたワカサギ

箱にブリオッシュ、信玄鶏のプレッセ、さじに揚げたワカサギ、野蒜、敷いた苔。

ブリオッシュはトーストに近く、鶏はさっぱりしている。ワカサギはししゃもみたいで、味は若干きれいめ。

02

スナップえんどうと新玉ねぎ

黒い漆の器に入った、淡い緑のスナップえんどうのムース

スナップえんどうと新玉ねぎのムース。

色はスナップえんどうなのに、味は玉ねぎ。グラタンみたいな濃厚さがある。

使っているのはスナップえんどうと新玉ねぎの二つだけ。

03

蕨麺

木の器に盛った蕨麺。わらびの茎と千切りの人参がのっている

蕨麺、わらびと千切りの人参。

麺は腰があるが、主役は噛みごたえのあるわらびのほう。人参はシャキシャキで、ねばみも少し出る。

04

岩魚と竜髭菜、筍

黒い皿にのせた岩魚の炭火焼き。薄いオレンジのチップ、焼いたアスパラガス、筍、いものクネル

炭火焼きにした岩魚とアスパラ、いものマスタードとペッパーのクネル、筍とオイル。

香りは控えめ。火の入りは低温調理みたいで、42度あたり。皮は調味料だけで塩は使っていないのに、塩っけがある。川魚にしては旨味が出ているし、野菜もかなり美味しく味が出ている。

05

白樺の樹液のポトフ、人参と大根

ざらついた小鉢に、しいたけ、人参、大根、鹿のソーセージが澄んだ出汁に浮かぶ

白樺の樹液のポトフ、焼いたしいたけ、煮た人参と大根、鹿と山椒のソーセージ。

出汁は白樺の樹液で、そこに具材が染み込んだ優しい味になる。素材もかなり良い。味わうたびに出てくる素材が変わる。

06

鹿節

食材鹿

灰色の平皿に、淡い緑の茎を並べて薄く削った鹿節をかぶせた口休め

並べた茎、薄く削った鹿節。

削った鹿節の塩気と旨みが、茎の苦味と混ざり合う。

07

出汁麺

透明な出汁を張った器に、白いうどんを一玉のせた出汁麺

ヒメマスの魚醤と水出しの昆布の透明な出汁、うどんを一玉。

出汁は昆布のねばみを感じる味。うどんは噛みごたえがある。

08

河口湖の鰻の炭火焼き

焦げ目のついた河口湖の鰻の炭火焼き二切れと、山菜の天ぷら

炭火で焼いた河口湖の鰻、うど、タラの芽、こしあぶら、ゆきのしたの天ぷら、きんぴらのうど。

焼き加減が良くて、甘い食感と濃すぎる焦げ目だと思うのに、口に入ると一体感がある。

09

熊のもも肉のすき焼き風

浅い鉢に盛った熊のもも肉のすき焼き風と、わらび

すき焼き風にした熊のもも肉、わらび。

すき焼きの割下が熊のももの赤身をまとめて、山椒が最後に抜ける。

10

野生肉包

パイで包んで切った野生肉包の断面と、深い色のソース

アナグマ、鹿、熊、いのしし、鴨、香茸、ワインビーフのフィレ、包んだパイ。

香茸は控えめで、色々な肉の味がパイにも染みている。ジビエは若干癖があるというか、レバーみたいなところがあって、牛がそれをまろやかにするが、少し脂っこい。

11

筍の御飯

白い椀に盛った御飯と、筍のスライス、山椒の葉

筍と山椒の葉をのせたご飯。

ご飯と合う筍の味で、甘いわけではないけどほんのり旨みがある。

12

蕗のとうのアイスとフィナンシェ

器に入った蕗のとうのアイスクリームに、緑のパウダーが振ってある

蕗のとうのアイス、ミルク、蕗の味噌と蕗のパウダー、フィナンシェ。

最初に蕗のとうが来て、あとから軽く味噌と、ミルクのようなまろやかさが追いかける。

黒い皿にのせた蕗のとうのフィナンシェと、ガラスの鉢に入った白いクリーム
蕗のとうのフィナンシェと、添えられたクリーム
13

小豆餅と抹茶

緑釉の鉢に入った小豆と焼いた餅、隣に抹茶を点てた茶碗

小豆、焼いた餅、抹茶を一服。

焼いた餅の香ばしさに小豆の粒が絡む。シナモンは香りだけ。

まとめ

品書きは13行、あいだに口休めが一つ。ワカサギと信玄鶏で始まって、小豆餅と抹茶で終わる。印象に残ったのは河口湖の鰻で、濃い焦げ目が口に入ると一つになる。白樺の樹液で引いたポトフも、一口ごとに違う素材が上がってくる。

西湖のRestaurant SAI 燊で5月の夜。獣が一晩に二度出てくる。熊のもも肉をわらびとすき焼き風にした皿と、アナグマ・鹿・熊・いのしし・鴨をワインビーフと一緒にパイで包んだ野生肉包。山菜のほうも、蕨麺、天ぷらのうどとタラの芽とこしあぶらとゆきのした、蕗のとうのアイスまで途切れない。獣と山菜と、湖と川の魚が同じ晩に並ぶ店はそう多くない。

行くなら春の終わり。わらびも筍も蕗のとうもまだ間に合って、そこに山の獣が加わる。次は秋、香茸がもっと出てくる頃に。