コース
信玄鶏のプレッセとワカサギ
箱にブリオッシュ、信玄鶏のプレッセ、さじに揚げたワカサギ、野蒜、敷いた苔。
ブリオッシュはトーストに近く、鶏はさっぱりしている。ワカサギはししゃもみたいで、味は若干きれいめ。
スナップえんどうと新玉ねぎ
スナップえんどうと新玉ねぎのムース。
色はスナップえんどうなのに、味は玉ねぎ。グラタンみたいな濃厚さがある。
使っているのはスナップえんどうと新玉ねぎの二つだけ。
蕨麺
蕨麺、わらびと千切りの人参。
麺は腰があるが、主役は噛みごたえのあるわらびのほう。人参はシャキシャキで、ねばみも少し出る。
岩魚と竜髭菜、筍
炭火焼きにした岩魚とアスパラ、いものマスタードとペッパーのクネル、筍とオイル。
香りは控えめ。火の入りは低温調理みたいで、42度あたり。皮は調味料だけで塩は使っていないのに、塩っけがある。川魚にしては旨味が出ているし、野菜もかなり美味しく味が出ている。
白樺の樹液のポトフ、人参と大根
白樺の樹液のポトフ、焼いたしいたけ、煮た人参と大根、鹿と山椒のソーセージ。
出汁は白樺の樹液で、そこに具材が染み込んだ優しい味になる。素材もかなり良い。味わうたびに出てくる素材が変わる。
鹿節
並べた茎、薄く削った鹿節。
削った鹿節の塩気と旨みが、茎の苦味と混ざり合う。
出汁麺
ヒメマスの魚醤と水出しの昆布の透明な出汁、うどんを一玉。
出汁は昆布のねばみを感じる味。うどんは噛みごたえがある。
河口湖の鰻の炭火焼き
炭火で焼いた河口湖の鰻、うど、タラの芽、こしあぶら、ゆきのしたの天ぷら、きんぴらのうど。
焼き加減が良くて、甘い食感と濃すぎる焦げ目だと思うのに、口に入ると一体感がある。
熊のもも肉のすき焼き風
すき焼き風にした熊のもも肉、わらび。
すき焼きの割下が熊のももの赤身をまとめて、山椒が最後に抜ける。
野生肉包
アナグマ、鹿、熊、いのしし、鴨、香茸、ワインビーフのフィレ、包んだパイ。
香茸は控えめで、色々な肉の味がパイにも染みている。ジビエは若干癖があるというか、レバーみたいなところがあって、牛がそれをまろやかにするが、少し脂っこい。
筍の御飯
筍と山椒の葉をのせたご飯。
ご飯と合う筍の味で、甘いわけではないけどほんのり旨みがある。
蕗のとうのアイスとフィナンシェ
蕗のとうのアイス、ミルク、蕗の味噌と蕗のパウダー、フィナンシェ。
最初に蕗のとうが来て、あとから軽く味噌と、ミルクのようなまろやかさが追いかける。
小豆餅と抹茶
小豆、焼いた餅、抹茶を一服。
焼いた餅の香ばしさに小豆の粒が絡む。シナモンは香りだけ。
まとめ
品書きは13行、あいだに口休めが一つ。ワカサギと信玄鶏で始まって、小豆餅と抹茶で終わる。印象に残ったのは河口湖の鰻で、濃い焦げ目が口に入ると一つになる。白樺の樹液で引いたポトフも、一口ごとに違う素材が上がってくる。
西湖のRestaurant SAI 燊で5月の夜。獣が一晩に二度出てくる。熊のもも肉をわらびとすき焼き風にした皿と、アナグマ・鹿・熊・いのしし・鴨をワインビーフと一緒にパイで包んだ野生肉包。山菜のほうも、蕨麺、天ぷらのうどとタラの芽とこしあぶらとゆきのした、蕗のとうのアイスまで途切れない。獣と山菜と、湖と川の魚が同じ晩に並ぶ店はそう多くない。
行くなら春の終わり。わらびも筍も蕗のとうもまだ間に合って、そこに山の獣が加わる。次は秋、香茸がもっと出てくる頃に。