5月の夜、金沢・片町の鮨 いくたへ。つまみが6品、握りが10貫、あいだに手巻きが1つ、締めにとろたく巻。日本酒はグラスで6杯。

コース

01

鯛

食材鯛

九谷の皿に鯛の刺身を重ね、紫の花穂紫蘇とわさびを添えて

薄くそいで重ねた鯛の身、紫の花穂紫蘇、たれ、わさび。

薄く引いてあるぶん、たれの塩気と花穂紫蘇の香りが、身とそのまま混ざり合う。

02

カラスミ餅

食材唐墨

緑釉の小皿に、橙色の唐墨と白い餅を重ねた一口

唐墨の丸い薄切り、折り重ねた白い餅。

餅が淡白なぶん、唐墨の塩気と旨みだけが残る。

03

マハタ 金時草

土鉢にマハタの薄造り、黄色いソースと茗荷の千切り、下に金時草の葉

薄く引いたマハタの身、半分だけ掛けた黄色いソース、茗荷の千切り、金時草。

淡白な身と、ソースのコクと茗荷の辛みが混ざり合う。

04

毛蟹

食材毛蟹

菊形の鉢に毛蟹のほぐし身、上に大根とラディッシュの千切り

ほぐして味噌で和えた毛蟹の身、大根とラディッシュの千切り。

ほぐした身に蟹味噌のコクが絡む。

05

飯蛸 そら豆

九谷の小鉢に飯蛸の頭と足、そら豆を二粒

卵の詰まった頭を割った飯蛸と足、そら豆を二粒。

頭の卵がほろほろ崩れて、そら豆の甘みが後から来る。

06

ハタハタと万願寺唐辛子の焼き

粉引の角皿に、皮を焼いたハタハタ二枚と焼いた万願寺唐辛子

皮から焼いたハタハタを二枚、焼いた万願寺唐辛子。

皮を焼いたハタハタの脂に、万願寺の甘さが挟まる。この夜の最強はこれだった。

07

アラ

食材アラ

染付の皿にアラの握り一貫

皮際を残したアラ。

噛むほど旨みが出てくる。

08

アオリイカ

細かく包丁を入れたアオリイカの握り

細かく包丁を入れたアオリイカ、ツメを一筋。

切り目のぶんねっとりが強く出て、青い香りが後ろから来る。

09

北海道のサクラマス

食材サクラマス

産地サクラマス北海道

橙色に照るサクラマスの握り

北海道のサクラマスの身を一枚。

脂の乗った身が、シャリの上でほどける。

10

ガスエビの炙り

焼き目を入れたガスエビを数尾並べた握り

数尾を並べて炙り焼き目を入れたガスエビを一貫。

炙ったぶん甘みが際立って、香ばしさが後に残る。

11

能登の鮪

食材鮪

産地鮪能登

染付の皿に、脂の筋が入った鮪の握り

能登の鮪を一貫。

赤身と脂の境あたりで、酸と脂が一緒に来る。

12

鰺

食材鯵

銀の皮を残した鰺の握り、シャリに刻んだ葱

皮を残した鰺、シャリのあいだに挟んだ刻んだ葱。

青魚の脂を、葱の香りが引き締める。

13

北海道の鮪 大トロ

食材鮪

産地鮪北海道

細かい霜降りが入った大トロの握り

北海道の鮪の大トロを一貫。

口に入れたところからほどけていく。

14

能登のとり貝の炙り

食材鳥貝

産地鳥貝能登

黒く艶のあるとり貝を炙った握り

炙った能登のとり貝の身を一貫。

炙ったぶん、とり貝の甘みと磯の香りが立つ。

天然ものではないが、とにかく大きい。

15

雲丹

海苔で巻いた雲丹の軍艦

海苔で巻いた軍艦に雲丹の粒。

海苔の香りと雲丹の甘さが混ざり合う。

16

とり貝のヒモときゅうりの手巻き

手に持った手巻き、海苔の中にとり貝のヒモときゅうり

海苔に巻いて手渡しで来るとり貝のヒモときゅうり。

ヒモの歯ごたえときゅうりのみずみずしさが、海苔の中で一緒になる。

さっきの一貫のヒモが、ここに回ってくる。

17

黒むつの炙り

食材黒むつ

鱗の側を焼いた黒むつの握り

鱗の側を焼き付けて炙った黒むつ。

焼いた皮の下から、脂の乗った白身が来る。

18

とろたく巻

染付の皿にとろたく巻を六切れ

刻んだトロに沢庵と青みを巻き込んだとろたく巻を六切れ。

トロの脂を、沢庵の歯ごたえと酸が受け止める。

まとめ

つまみが6品、そこから握りが10貫、あいだに手巻きが1つ、締めにとろたく巻。金沢・片町の鮨 いくたで5月の夜。

いちばんはハタハタと万願寺唐辛子の焼きだった。皮を焼いたハタハタが二枚、そのあいだに焼いた万願寺が挟まっているだけで、この夜の最強。

能登のものが、形を変えて何度も出てくる。とり貝は天然ものではないが大きくて、炙って一貫になり、そのヒモがあとから手巻きで戻ってくる。鮪も能登。金時草はマハタの下に敷かれていた。遠くから来たのは北海道のサクラマスと大トロの二貫だけで、あとは日本海のまわりで組んである。

日本酒はグラスで6杯。雪雲で始まり、能登の吉田蔵 # 谷泉、珠洲の宗玄と続いて、締めは花邑の雄町だった。

毛蟹とそら豆と飯蛸が同じ晩に並ぶのは5月のあいだで、この夜はその真ん中だった。次は夏の魚に替わったころ、とり貝がまだ出ているうちに。