3月の夜、札幌・円山のすし宮川へ。つまみを6品、そこから握り。日本酒はグラスで、皿に合わせて6本を替えてもらった。
コース
真鯛の真子 筍 菜の花 新生姜
薄く張った出汁、筍と菜の花、真鯛の真子、新生姜の千切り。
たけのこと菜の花がうまい。北海道はやはり野菜だと思う。真子のほろりとした粒が、筍の歯ざわりと菜の花の苦みのあいだに収まっている。
クエのたたき 大根おろし 茗荷
たたきにして寝かせたクエを一切れ、大根おろしと刻んだ茗荷。
寝かせてあるわりに、身の味が弱かった。
ホタルイカ アスパラ 独活 胡桃味噌
北海道のアスパラガス、富山のホタルイカ、春の独活、胡桃味噌で和えてある。
アスパラがうますぎる。ホタルイカも当然美味しいし、ウドも凄く良い。胡桃味噌と野菜がホタルイカに合う。
白甘鯛の揚げ出し 蕗 芽ねぎ
白甘鯛の揚げ出し、蕗を一本、芽ねぎ。
出汁がうまい。衣が出汁を吸って、白甘鯛のねっとりした身に出汁ごと回る。
函館の蝦夷鮑蒸し 肝ソース
蒸した函館の蝦夷鮑、鮑の煮汁と肝のソース。
鮑が大きい。それでいて味は濃厚すぎず、バランスが美しい。ソースも肝が強すぎず、すっきりクリーミーなところで止めてある。食べ終えたソースに、米を落としてもらった。
肝はメスとオスがあって、使うのはオスだけ。
稚内の毛蟹 函館のむらさき雲丹 黒酢あん
稚内の毛蟹、函館のむらさきうに、黒酢のあん。
北海道の共演。毛蟹は地味に後からうまい。雲丹も想像以上に美味しくて、あんかけがその二つをよく調和させる。
アオリイカ
厚く切ったアオリイカ、薬味をひとつまみ。
アオリイカがねっとりしてうまい。
赤貝
ひもを身に巻き込んで握った赤貝。
海の味がする。相当うまい。
金目鯛
皮を残したまま握った金目鯛。
皮の下に脂があって、それが酢飯の酸と混ざり合う。
鮪の漬け
漬けにした鮪。
漬けは深めで、醤油の甘みが赤身の奥まで入っていて、これは良い。
九州のあかむつ
九州のあかむつ。
新鮮で、脂がよく乗っている。
コハダ
細かく包丁を入れたコハダ。
〆の酸が身の脂とちょうど釣り合う。
中トロの漬け
さくのまま漬けにした中トロ。
漬けにした中トロの脂身がうまい。
車海老
縞が残るように火を入れた車海老。
エビの味がそのまま出る。
根室の雲丹の軍艦
根室の雲丹を海苔で巻いた軍艦、山盛り。
海苔の磯が、山盛りの根室の雲丹の甘さを持ち上げる。美味しすぎる。
穴子の棒寿司 しいたけ がり
しいたけとがりを一緒に巻いた穴子の棒寿司、帯のようにかけた海苔。
穴子の甘いツメに、しいたけの出汁とがりの酸が混ざる。これも良い。
積丹の岩海苔と魚の骨の出汁の椀
魚の骨から取った出汁、積丹の岩海苔。
骨の出汁と岩海苔の磯が混ざり合って、うまい。
オオトリガイ
大ぶりの身を一枚のまま握ったオオトリガイ。
噛むほど貝の甘みが出てくる。これもうますぎる。
ほっき貝
ほっき貝。
出汁のような旨みが、噛むと口の中に広がる。
サクラマスの熟成昆布締め 塩
熟成昆布締めにしたサクラマス、塩。
熟成と昆布の旨みが塩だけで立ち上がる。これは凄すぎる。この日印象に残ったのがこれだった。
醤油ではなく塩で食べる。
赤貝のひも
赤貝のひもだけを重ねて握ったもの。
貝の味がそのまま出て、美味しい。
玉子
カステラのように焼いた厚い玉子を二切れ。
焼いた縁が香ばしく、中はカステラのように甘い。
まとめ
つまみが6品、そこから握りが続いて、最後に玉子。北海道のものが軸にあって、そこに富山のホタルイカと九州のあかむつが混じる組み方だった。3月の札幌・円山のすし宮川で。
この店らしさは、鮑と毛蟹の二皿にはっきり出ていた。函館の蝦夷鮑は大きいのに味が濃くならず、煮汁と肝のソースも肝が際立たない。稚内の毛蟹と函館のむらさき雲丹を黒酢のあんでまとめた皿も同じで、素材が強いときほど、寄せる力のほうを効かせてくる。
野菜もそうだった。北海道のアスパラ、春の独活、筍と菜の花。つまみのうち三皿が野菜で組まれていて、それが全部良い。
印象に残ったのはサクラマスの熟成昆布締めだった。醤油を使わず塩だけで出てくるのは、身のほうが十分に濃いからで、そこまで熟成させた一貫を3月に食べられるのがこの日の収穫だった。
筍と菜の花とホタルイカが重なって、そこにサクラマスが来るのが3月の札幌だった。次は初夏、雲丹が本格的になるころに座りたい。