手書きの弥生の献立。菜の花 生口子から菜の花金団まで12品
手書きの弥生の献立。菜の花 生口子から菜の花金団まで12品

コース

01

菜の花と七尾の生このこ

食材菜花このこ生姜

産地このこ七尾

黄色い角皿に、菜の花の上へ生このこをのせ、生姜酢をかけた一品

敷いた菜の花、七尾の生このこ、出汁をきかせた生姜酢。

塩気が程よくて、そのまま酒に合う。菜の花にもかすかに出汁が入っていて、シャキシャキと新鮮。

02

豌豆豆富 炙った蕗のとう

黒漆の椀に沈めた緑の豌豆豆富。上に炙った蕗のとうの葉

四角く切って沈めたえんどう豆の豆富、炙った蕗のとうの葉。

香りも色も良くて、豆の嫌な味はしない。蕗のとうはアクセント程度に効いている。

03

新湊の黒鯛のお造り

食材黒鯛

産地黒鯛富山 新湊

飴釉の鉢に黒鯛の造り。大葉、茗荷、大根、人参のあしらいと山葵

今朝あがった新湊の黒鯛、食べる時間から逆算して〆て血抜きをし、そこから置いたもの、能登・珠洲の塩とすだち、山葵醤油。

歯応えがあってぶりぶりしている。鯛の旨みもちょうどいい。

これから旬に入るところ。

04

八尾の絹ごし豆富の木の芽田楽

食材豆腐山椒

産地豆腐富山 八尾

木箱に載せた二本の豆富の田楽。緑の木の芽味噌を塗り、青竹の串を刺してある

木箱に木の芽味噌の田楽にした八尾の長江屋さんの絹ごし豆富、串を刺して。

田楽というより豆腐みたいにふわふわで、味もそう。木の芽みそも軽めでさっぱりしている。

05

八寸

丸い曲げ物の八寸。桜の枝を渡し、貝殻や金の小皿に春の小さなものを盛る

曲げ物に桜の枝を一本、ホタテ、すり身の和風カステラ、富山の鰯の手毬ずし、高野もなかに蕗のとう味噌、富山のズワイガニの煮凝り、じゃことセロリ、庄内麩のカマンベールチーズ、小皿にほたるいか。

煮凝りの柚子の香りと蟹の甘み、もなかの蕗のとう味噌の苦み、ほたるいかの酢味噌と、甘い・苦い・酸っぱいが小さく順に来る。

06

七尾の桜鱒の炭火焼き

食材サクラマス

産地サクラマス七尾

飴釉の輪花皿に桜鱒の炭火焼き。皮に焼き目が入り、半割りのすだちが添う

炭火で焼いた七尾の桜鱒、半割りのすだち。

香りが良くて、皮の焼き加減がいい。振った塩が凄い。炭の香ばしさをまとうと、繊細で優しい脂身がかえってよく出てくる。

07

ほたるいかの釜揚げ

食材ホタルイカ

産地ホタルイカ富山

染付の鉢に釜揚げのほたるいか。ぽん酢に浸してある

ぷっくり釜揚げにしたほたるいか、ぽん酢。

肝がおいしくて、そこにぽん酢のさっぱりさが重なる。

カウンターの黒い長板に並べたほたるいか。二列に隙間なく並ぶ
カウンターの長板に並べたほたるいか
08

ほたるいかの炭火焼き

食材ホタルイカ

産地ホタルイカ富山

黒い筆目の貝形皿に、炭火で焼いたほたるいか。照りが出て足が縮れている

炭火で焼いた同じほたるいか。

焼きの香ばしさが立って、中の肝は新鮮なまま。釜揚げより強く、旨みのある深いコクが出てくる。

09

富山の小松菜の胡麻和え

食材小松菜

産地小松菜富山

青海波を彫った浅鉢に、小松菜の胡麻和えをひと盛り

茹でて出汁に漬け込んだ富山の小松菜、煎って丁寧に摺った白胡麻で和えてある。

出汁を吸った茎はまだ歯が残っていて、摺った白胡麻の香りが後から来る。

10

呉羽の菊芋のすり流し

食材菊芋

産地菊芋富山 呉羽

染付の鉢に菊芋のすり流し。淡い黄土色でとろみがある

だしと塩ですり流しにした呉羽の菊芋。

菊芋の甘みが出汁と塩にくるまれて、優しい味。

11

ほたるいかの菜飯

食材ホタルイカ菜花

産地ホタルイカ富山

土鍋いっぱいの菜飯。刻んだなばなと胡麻の上に、煮たほたるいかを並べてある

土鍋に生のまま刻んで少量の油でいためて味付けしたなばな、昆布をさして炊いた銀シャリ、胡麻、甘辛く煮つけたほたるいか、香の物と吸い物。

なばなは控えめで、甘辛く煮つけたほたるいかが際立って、美味しい。

取り分けた菜飯の椀に、香の物と葱の吸い物が付く
取り分けた菜飯に、香の物と葱の吸い物
12

満寿泉プラチナの酒粕アイス

食材酒粕

青磁の鉢に酒粕アイスをクネルでひとつ

クネルにした満寿泉プラチナ寿の酒粕で作ったアイスクリームをひとつ。

酒粕の香りが乳の甘さの奥に残る。

13

菜の花きんとん

朱の角皿に緑の菜の花きんとん。黄色の粒を散らし、黒文字を添えて抹茶と並ぶ

緑の生地に黄色の粒を散らして菜の花にしたきんとん、黒文字。

餡の甘みを、抹茶の苦みが受け止める。

まとめ

富山の御料理 ふじ居で3月の昼。菜の花に生このこ、豌豆豆富、黒鯛、田楽、八寸、桜鱒、ほたるいかを二度、胡麻和え、すり流し、菜飯、アイス、きんとんで13品。

軸はほたるいかだった。カウンターの黒い長板に二列でぎっしり並んでいたものが、まず釜揚げでぽん酢、次に炭火で焼かれ、最後は甘辛く煮つけられて菜飯の上に盛ってある。茹でると肝がまっすぐ出て、焼くと香りが先に来て肝は生に近いまま、煮ると今度はご飯を進ませる。同じものを三度、火の入れ方だけ替えて出してくる。八寸の小皿にも一杯いたので、数えれば四度だった。

桜鱒は七尾のもので、皮の焼き加減と塩の振り方だけで持っていく。造りは今朝あがった新湊の黒鯛で、これから旬に入るところ。春のものは菜の花と蕗のとうが続けて出て、最後にまた菜の花のきんとんで戻ってくる。

産地は今回も細かく、七尾の生このこと桜鱒、新湊の黒鯛、八尾の長江屋さんの絹ごし豆富、呉羽の菊芋。上市町白萩地区の酒米、舟橋村のコシヒカリと、グラスの中にまで地名が付いている。

酒は今回も満寿泉が軸。土遊野の Do You Know、白萩、プラチナ搾り、ふなはし、ふじ居ボトル、純米、2010年度醸造の純米大吟醸、リンク8888、PERO、カメ一号、貴醸酒で造った貴醸酒。八寸には IWA 5 のアッサンブラージュの5と4を並べ、最後は抹茶で締める。氷に生姜を落としたロック、常温に戻した熟成酒、燗で落ち着かせた一本と、温度も出し方も皿ごとに替わる。

富山の春は、ほたるいかが上がってきて、桜鱒が入って、菜の花と蕗のとうが同じ卓に載る。行くならほたるいかが板の上に並ぶこの時期に。次は白海老の頃に来てみたい。