手書きの12月の献立。柚子釜から紫芋まで11品
手書きの12月の献立。柚子釜から紫芋まで11品

コース

01

真鱈白子の焼き物と柚子釜

くり抜いた柚子の器に入った真鱈の白子と出汁あん。焼いた蓋をずらしてある

くり抜いて器にした柚子、焼いた真鱈の白子と出汁あん、焼き目のついた蓋。

出汁は澄んで軽く、そこへ白子の濃い旨みと塩気が正面から合わさる。

02

蟹しんじょう 音川の聖護院かぶらのみぞれ仕立て

食材ズワイガニ聖護院かぶ柚子

産地聖護院かぶ富山 音川

黒い椀に張ったかぶらのみぞれに沈む蟹しんじょう。椿の絵の小皿が添う

音川の聖護院かぶらのみぞれ、ズワイガニのしんじょうをひとつ。

しんじょうの旨味、かぶらの甘味、染み入る出汁、ほんのり香る柚子が、口の中で順に来る。

03

氷見の天然ぶりのお造り 炙りと砂ずりのしゃぶしゃぶ

食材ぶり辛味大根わさび玉ねぎ

産地ぶり氷見・辛味大根富山

緑釉の木の葉皿に並んだ天然ぶりの造り3切れ

船の上で締めた氷見のぶり11kgの造りを3切れ、山葵醤油、富山の辛味大根の卸醤油、炙った大トロ、砂ずりのしゃぶしゃぶ、玉ねぎの薄切り。

炙ると脂が溶けて香ばしさが立ち、しゃぶにすると熱の入った脂が玉ねぎの甘みと絡む。

緑釉の皿にのった、表面を炙ったぶりの切り身
大トロを炙ったもの
染付の鉢に入ったぶりの砂ずりのしゃぶしゃぶ。玉ねぎの薄切りが重なる
砂ずりのしゃぶしゃぶ。玉ねぎの薄切りを重ねて

柵のまま3本、カウンターに載せて見せてくれる。寒ぶりにはまだ早く、天然のぶりが出はじめた頃。

04

甲箱の醤油漬けと福岡町の銀シャリ

食材香箱蟹米

産地香箱蟹富山・米富山 福岡町

朱の皿にのった甲箱の甲羅。内子と蟹味噌を盛り、朱の椀に銀シャリが添う

葱と昆布水、醤油、酒に漬け込んだ甲箱、甲羅に盛った内子と蟹味噌、土鍋ごと見せてから椀に取り分ける福岡町の富山米の飯。

漬けダレを吸った内子と蟹味噌が、ひと口で濃く来る。そこに飯を挟むと塩気が引いて、また甲羅に戻れる。

大皿に積み上げた茹でた甲箱
大皿に積み上げた甲箱
土鍋で炊きあがった白飯
土鍋で炊いた福岡町の飯
05

八寸

曲げわっぱの八寸。枯れ枝と南天の実を敷き、鯖の棒鮨や生ハムを散らしてある

曲げわっぱに枯れ枝と南天の実、麩にカマンベールと醤油、キクラゲの味噌漬け、鶏肉とカシューナッツ、最中にとんぶりと大和芋に醤油、鯖の棒鮨、洋梨に生ハム、じゃことえのき。

生のもの、焼いたもの、干したもの、漬けたものが一枚に載って、甘味と酸味と塩気が順に来る。

06

ぶりの塩焼き

食材ぶり

産地ぶり富山

黒い長皿にのったぶりの塩焼きと半割りの柑橘

皮を焼き上げたぶりの厚い一切れ、半割りの柑橘、塩だけ。

焼いた皮の下から脂が出てきて、柑橘を搾ると重さが切れる。

07

あんぽ柿の紅白なます

食材柿大根人参

産地柿富山

刷毛目の鉢に盛ったあんぽ柿と紅白なます

半生で干しあげた富山のあんぽ柿、紅白のなます。

あんぽ柿はしっとりして、甘みは柔らかい。そこになますの酸が際立つ。

08

里芋

食材里芋柚子

産地里芋富山

染付の鉢に出汁と里芋がひとつ。柚子の皮を散らしてある

六方に剥いて澄んだ出汁に浸けた富山県産の里芋をひとつ、柚子の皮。

出汁を吸った里芋が噛むとほどけて、あとに柚子の香りだけが残る。

09

ぶり大根飯

食材ぶり大根米蕎麦

産地大根富山 上市

取り分けたぶり大根飯の椀。蕎麦と香の物が同じ盆にのる

土鍋に刻んだ大根葉、ほぐしたぶりと上市の大根、鰹と昆布の出汁、椀のほかに蕎麦と香の物。

ぶりは飯にほぐれて混ざり、大根が煮汁を抱えている。

土鍋の中。刻んだ大根葉の上にほぐしたぶりと大根
土鍋の中。刻んだ大根葉の上にほぐしたぶりと大根
10

満寿泉プラチナの酒粕アイス

食材酒粕

粉引の鉢にクネルで盛った酒粕のアイス

クネルにした満寿泉プラチナの酒粕で作ったアイスをひとつ。

口の中で溶けたあとに酒粕の香りだけが残って、甘さがそこで止まる。

11

富山の紫芋の和菓子

食材紫芋

産地紫芋富山

朱の角皿にのった紫芋の和菓子と、粉引の碗の抹茶

富山の紫芋の和菓子をひとつ、碗の抹茶。

芋の甘さがそのまま出ていて、抹茶の苦さでちょうど止まる。

まとめ

富山の御料理 ふじ居で12月の昼。柚子釜、みぞれの椀、造り、甲箱、八寸、焼き物、なます、里芋、ぶり大根飯、アイス、和菓子で11品。

軸は氷見のぶりだった。11kgを船の上で締めたもので、造りで出て、大トロを炙って出て、砂ずりを湯にくぐらせて出て、塩焼きになり、最後は大根と一緒に飯に炊き込まれる。生から火から湯から飯まで、5回。もう一方の主役の甲箱は、葱と昆布水と醤油と酒に漬け込んで、甲羅に内子と蟹味噌を盛ったまま出てくる。

地名は皿ごとに付く。音川の聖護院かぶら、福岡町の米、上市の大根、富山の里芋とあんぽ柿と紫芋。

酒はほぼ満寿泉で通る。並んだのは Pero に Bo、限定大吟醸、貴醸酒で造った貴醸酒、有峰、リンク8888、白萩、土遊野。造りには限定大吟醸を、2000年醸造と現行で2杯並べた。八寸には IWA 5 を3本、桝田酒造店で醸された最初の一本とアッサンブラージュの4と6を、形の違うグラスに注いで横に並べた。白萩は縁に塩をまわしたスノースタイルで、最後はモーリシャスのダークラム。料理ごとに一杯ぶんの理由を書いた品書きが付いてきて、読みながら飲むことになる。

12月の富山は、ぶりと甲箱が同じ卓に載る。寒ぶりの手前の、天然のぶりが出はじめた頃で、行くならこの先、寒が深まって身が締まる時期に。次は春、山菜に替わった頃にまた来たい。