コース
真鱈白子の焼き物と柚子釜
くり抜いて器にした柚子、焼いた真鱈の白子と出汁あん、焼き目のついた蓋。
出汁は澄んで軽く、そこへ白子の濃い旨みと塩気が正面から合わさる。
蟹しんじょう 音川の聖護院かぶらのみぞれ仕立て
音川の聖護院かぶらのみぞれ、ズワイガニのしんじょうをひとつ。
しんじょうの旨味、かぶらの甘味、染み入る出汁、ほんのり香る柚子が、口の中で順に来る。
氷見の天然ぶりのお造り 炙りと砂ずりのしゃぶしゃぶ
船の上で締めた氷見のぶり11kgの造りを3切れ、山葵醤油、富山の辛味大根の卸醤油、炙った大トロ、砂ずりのしゃぶしゃぶ、玉ねぎの薄切り。
炙ると脂が溶けて香ばしさが立ち、しゃぶにすると熱の入った脂が玉ねぎの甘みと絡む。
柵のまま3本、カウンターに載せて見せてくれる。寒ぶりにはまだ早く、天然のぶりが出はじめた頃。
甲箱の醤油漬けと福岡町の銀シャリ
葱と昆布水、醤油、酒に漬け込んだ甲箱、甲羅に盛った内子と蟹味噌、土鍋ごと見せてから椀に取り分ける福岡町の富山米の飯。
漬けダレを吸った内子と蟹味噌が、ひと口で濃く来る。そこに飯を挟むと塩気が引いて、また甲羅に戻れる。
八寸
曲げわっぱに枯れ枝と南天の実、麩にカマンベールと醤油、キクラゲの味噌漬け、鶏肉とカシューナッツ、最中にとんぶりと大和芋に醤油、鯖の棒鮨、洋梨に生ハム、じゃことえのき。
生のもの、焼いたもの、干したもの、漬けたものが一枚に載って、甘味と酸味と塩気が順に来る。
ぶりの塩焼き
皮を焼き上げたぶりの厚い一切れ、半割りの柑橘、塩だけ。
焼いた皮の下から脂が出てきて、柑橘を搾ると重さが切れる。
あんぽ柿の紅白なます
半生で干しあげた富山のあんぽ柿、紅白のなます。
あんぽ柿はしっとりして、甘みは柔らかい。そこになますの酸が際立つ。
里芋
六方に剥いて澄んだ出汁に浸けた富山県産の里芋をひとつ、柚子の皮。
出汁を吸った里芋が噛むとほどけて、あとに柚子の香りだけが残る。
ぶり大根飯
土鍋に刻んだ大根葉、ほぐしたぶりと上市の大根、鰹と昆布の出汁、椀のほかに蕎麦と香の物。
ぶりは飯にほぐれて混ざり、大根が煮汁を抱えている。
満寿泉プラチナの酒粕アイス
クネルにした満寿泉プラチナの酒粕で作ったアイスをひとつ。
口の中で溶けたあとに酒粕の香りだけが残って、甘さがそこで止まる。
富山の紫芋の和菓子
富山の紫芋の和菓子をひとつ、碗の抹茶。
芋の甘さがそのまま出ていて、抹茶の苦さでちょうど止まる。
まとめ
富山の御料理 ふじ居で12月の昼。柚子釜、みぞれの椀、造り、甲箱、八寸、焼き物、なます、里芋、ぶり大根飯、アイス、和菓子で11品。
軸は氷見のぶりだった。11kgを船の上で締めたもので、造りで出て、大トロを炙って出て、砂ずりを湯にくぐらせて出て、塩焼きになり、最後は大根と一緒に飯に炊き込まれる。生から火から湯から飯まで、5回。もう一方の主役の甲箱は、葱と昆布水と醤油と酒に漬け込んで、甲羅に内子と蟹味噌を盛ったまま出てくる。
地名は皿ごとに付く。音川の聖護院かぶら、福岡町の米、上市の大根、富山の里芋とあんぽ柿と紫芋。
酒はほぼ満寿泉で通る。並んだのは Pero に Bo、限定大吟醸、貴醸酒で造った貴醸酒、有峰、リンク8888、白萩、土遊野。造りには限定大吟醸を、2000年醸造と現行で2杯並べた。八寸には IWA 5 を3本、桝田酒造店で醸された最初の一本とアッサンブラージュの4と6を、形の違うグラスに注いで横に並べた。白萩は縁に塩をまわしたスノースタイルで、最後はモーリシャスのダークラム。料理ごとに一杯ぶんの理由を書いた品書きが付いてきて、読みながら飲むことになる。
12月の富山は、ぶりと甲箱が同じ卓に載る。寒ぶりの手前の、天然のぶりが出はじめた頃で、行くならこの先、寒が深まって身が締まる時期に。次は春、山菜に替わった頃にまた来たい。