黒い盆に載せた手書きの葉月の献立。夏野菜寄せから水羊羹まで12品
手書きの葉月の献立。夏野菜寄せから水羊羹まで12品

コース

01

白海老と夏野菜のゼリー寄せ

蓮の葉に載せた白海老と夏野菜のゼリー寄せ。断面にトマトとオクラが見える

蓮の葉に茄子ときゅうりで巻いた夏野菜のゼリー寄せ、富山湾の白海老、トマトとオクラ、柚子。

出汁のゼリーがさっぱり通っていく中に、白海老と夏野菜の旨みが際立つ。

02

鱧と冬瓜のお椀

銀の椀に鱧と冬瓜、じゅんさい、輪切りの柑橘に梅がひと粒

鱧、冬瓜の薄切り、じゅんさい、輪切りの柑橘、梅をひと粒。

出汁は優しい味で細く、じゅんさいのつるりとした歯ざわりが良い。

03

新湊のキジハタのお造り

食材キジハタ

産地キジハタ富山 新湊

金縁の切子の舟皿に盛った新湊のキジハタのお造り

今日〆た新湊のキジハタのお造り、大葉と穂紫蘇、茗荷、酢橘と塩。

コリコリした歯応えがあって、噛んでいると後から旨みが広がってくる。

04

黒部生地の天然鮑の蒸し物

食材鮑

産地鮑富山 黒部生地

切子の鉢に蒸し鮑と肝、そうめんかぼちゃと柚子の皮

5時間蒸した黒部生地の天然鮑、身とは温度を変えた肝、そうめんかぼちゃ、ずいき、酢、柚子の皮。

身しか食べていないのに肝の味もあって、旨みがすごい。海の香りというより、水の感じが透き通ってくる旨みで、部位ごとに旨みも変わる。肝は上品で、それでいて旨みが凄すぎる。後味も臭くなくてバランスが良い。今までで一番かもしれない。

5時間蒸した黒部生地の天然鮑を丸ごと一枚、肝を添えて
5時間蒸した黒部生地の天然鮑を丸ごと一枚、肝を添えて

黒部の生地、富山でいちばん水が綺麗なところで、海女さんが獲ったもの。

05

大門素麺のとろろ

筒形の器に大門素麺、とろろと焼海苔を載せて

冷やした大門素麺、とろろ、焼海苔。

細い素麺にとろろがからんで、焼海苔の香りが上から来る。

06

八寸

黒い盆に青楓を散らした八寸。さざえの殻、もなか、白いちじく、枝豆が並ぶ

盆に殻ごとのさざえの味噌和え、胡麻醤油をかけた白いちじく、たれと酢で食べる庄川の天然鰻、白瓜の雷干し、ビーツを詰めた高尾もなか、魚のすり身の和風カステラ、万願寺とじゃこ、塩水の枝豆、焼き目をつけた生麩、青楓。

胡麻醤油の塩気が白いちじくの甘さを引き立て、さざえは味噌のコクで濃い。八つそれぞれ味が違って、味噌が入るぶん全体は日本酒のほうに寄った。

07

神通川の天然鮎の炭火焼き

食材鮎

産地鮎富山 神通川

粉引の輪花皿に炭火で焼いた天然鮎が二尾、塩を振って

ほうじ茶で燻してから炭火で焼いた神通川の天然鮎を二尾、塩、蓼酢。

頭からカリッといって、皮と身のバランスがすごい。身はふっくらして旨みもあり、燻したほうじ茶の香りが後に残る。

染付の水鉢で泳ぐ神通川の天然鮎
水鉢で泳ぐ神通川の天然鮎
笹の葉に載せた鮎を燻して、煙が上がっている
笹の葉に載せた鮎を燻して、煙が上がっている

神通川の鮎で、八尾の漁師から。

08

ぼたん海老と蓮芋

金縁の切子の鉢に、蓮芋と酢ゼリーを敷いたぼたん海老。穂紫蘇の花を散らして

昆布で〆たぼたん海老、蓮芋、酢ゼリー、柑橘、穂紫蘇の花。

昆布〆のぼたん海老がねっとりして、そこを酢ゼリーと柑橘がさっぱり通していって、旨い。

09

吉川なすのすり柚子

食材吉川茄子柚子

産地吉川茄子福井 吉川

白い鉢に、皮をむいた吉川なしを丸ごと澄んだ出汁に浸して、すり柚子を散らしてある

打ち粉をして油で揚げ、鰹と昆布の出汁で炊いた福井の吉川なす、すり柚子、塩。

塩っけが若干あって、出汁はシンプルですっきりしている。優しい味で、茄子の旨みを出汁がほんのり後押しする。

10

とうもろこし土鍋ご飯

土鍋の表面が焼き目のついたとうもろこしで埋め尽くされている

土鍋に炙ったとうもろこしで埋め尽くしたご飯、茄子の漬物、味噌汁。

炙ったとうもろこしの香りと甘みが、ご飯のそれと混ざり合う。

取り分けたとうもろこしご飯に、茄子の漬物と汁物
取り分けたとうもろこしご飯に、茄子の漬物と汁物
11

満寿泉プラチナの酒粕アイス

食材酒粕

青磁の鉢にクネルにした酒粕アイスがひとつ

満寿泉プラチナ寿の酒粕で作ったアイス。

酒粕の香りが、乳の甘さの後に残る。

12

水羊羹

食材小豆

産地小豆能登

染付の皿に角切りの水羊羹と青楓、隣に抹茶の茶碗

能登の大納言小豆を満寿泉の湧水で炊いた水羊羹、青楓。

小豆の甘さはすっきりしていて、抹茶の苦みが後に来る。

まとめ

白海老のゼリー寄せに始まって水羊羹まで12皿、そのすべてにグラスが付く。富山のふじ居で8月の夜。

印象に残ったのは鮑だった。黒部の生地で海女さんが獲ったものを5時間蒸す。身だけを食べているのに肝の味が後から追いかけてきて、噛む場所を変えると旨みまで変わる。

鮎は神通川、八尾の漁師から。水鉢で泳いでいたものが笹の上に移されてほうじ茶で燻され、そのまま炭火にかかって出てくる。塩と蓼酢が添えられて、どちらで食べても旨味を引き出す。

産地の多様さもいつもどおりだった。黒部生地の鮑、神通川の鮎、新湊のキジハタ、庄川の天然鰻、富山湾の白海老、能登の大納言小豆。県外から来たのは福井の吉川なすくらいで、水羊羹を炊く水まで満寿泉の湧水だという。

この夜の満寿泉は、限定大吟醸、白萩、プラチナ寿の搾り生酒、BO、ふじ居ボトル、Gグリーン、ふなはし、リンク8888、貴醸酒で造った貴醸酒。八寸だけは氷見のセイズファームがふじ居のために瓶詰めしたシャルドネとワイン樽熟成の満寿泉を二杯並べ、ぼたん海老には IWA 5 が付く。出し方も皿ごとに変化して、椀は常温、茄子は65℃まで上げて20℃まで下げた燗冷まし。土鍋ご飯にはリンクと並べて、山田錦を17%まで磨いた非売品が冷凍庫から出てきた。

行くなら鮑と鮎ととうもろこしが一度に並ぶ8月。次は鮎が落ちて、蟹が上がってくる頃に来てみたい。